Excelパワーピボット (Power Pivot)とは
パワーピボットとは
Excelにはピボットテーブルというデータ集計の機能があります。パワーピボットはこのピボットテーブルを強化するツールです。パワーピボットを使うと、大量のデータをExcelという身近なツールで自在に集計・分析することができるようになります。
パワーピボットが便利な理由
パワーピボットが通常のピボットテーブルよりも便利な理由には以下のようなものがあります。
1.パワークエリと一緒に使うことで集計データの更新を容易に行える
パワーピボットが集計するデータは、パワークエリによって外部から取得するのが一般的です。パワークエリでは、ソースに指定した元データをいつでもボタン一つで再読み込みすることができ、パワーピボットでの集計結果も同時に更新できます。複雑な集計を行っていても、ワンクリックで最新結果を反映できるのがパワーピボットの大きなメリットです。
2.複数のテーブルをピボットテーブルの集計元にできる
通常のピボットテーブルの場合、集計元となるデータは1つの表(テーブル)にしなければなりません。ただ、日常的に業務で利用しているシステムでは、「売上データ」と「商品マスタ」や、「経費精算データ」と「従業員マスタ」のように、データを複数のテーブル(ファイル)で構成していることが多いものです。通常のピボットテーブルの場合、それらの表をVLOOKUP関数やパワークエリなどを使って一つにまとめてから分析することが必要でしたが、パワーピボットなら複数のテーブルを「リレーションシップ」と呼ばれる関連付けを行うことで、一つのデータモデルとして一気に集計・分析ができるようになります。
下の図は、「売上データ」を中心に、「顧客マスタ」「商品マスタ」「担当者マスタ」それぞれのテーブルとリレーションシップを設定したデータモデルの一例です。
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3.104万行を超える大量のデータを扱える
通常のExcelワークシート集計や、ピボットテーブルでは、Excelのワークシートの行数である約104万行を超える元データを扱うことはできません。また、数万行を超えるデータとなると、PCのスペックによっては挙動が極端に遅くなったり、不安定になったりと、物理的な理由で扱うことができない場合もあります。
パワーピボットではデータを「データモデル」として扱うため、Excelワークシートによるデータ量の上限はありません。また、扱われるデータも圧縮されており、処理速度が向上しています。
4.DAXを利用した高度な集計・分析ができる
パワーピボットではDAX(Data Analysis Expressions)が利用できます。DAX関数などの数式により、これまでのピボットテーブルやワークシート関数では難しかった計算も比較的容易に行えるようになります。
下の図は、「年度」「四半期」2つの軸で絞り込んだデータの「売上合計」を求めていますが、その隣の列では当該期の前期の売上合計を、さらにその隣では「前期比=売上合計/売上合計(前期)」を求めています。スライサーの「年度」「四半期」をクリックして切り替えるだけで、表の集計結果も選択した「年度」「期」のものに更新されます。
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パワーピボットの活用場面
パワーピボットは、身の回りにあるあらゆるデータを集計する場面で活用できますが、特に効果を発揮するのは、日々積み重なっていく大量のデータから、何らかの傾向を読み取ったり、未来を予測したりするときに便利です。
特に、POSデータが保持している売上データの分析や、実績データを元にした予算との対比など、これまで時間をかけて行っていた集計などに活用するところから始めると、その効率の良さが際立ちます。
特にピボットグラフやスライサーと組み合わせて「ダッシュボード」を作成できると、分析軸を切替ながら可視化したデータを読み取ることができ、状況を正確に把握することや、経営判断に役立てることができます。
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パワーピボットを学ぶべき人
データを扱うビジネスパースンはもちろん、研究などで精緻な数値データを分析したい方、経営者に可視化したデータを見てもらいたいコンサルタントなど、多くの方に学んでいただきたい機能です。これまでのビジネスパースンは「Excelが使えるのが当たり前」でしたが、今後は「モダンExcelを使えるのが当たり前」の時代になっていくものと思われます。(「モダンExcel」とは、パワークエリやパワーピボットが搭載され、データモデルを扱えるようなった新しいExcelを指しています。)
パワーピボットの学び方
比較的新しい機能であるパワーピボットを学べる場は、まだそう多くありませんが、徐々に講座やオンライン動画なども増えてきています。弊社代表の古澤が執筆した書籍「Excelパワーピボットで極める一歩先の集計・分析」はもちろん、活用場面に合わせた書籍なども出版されていますので、それらの書籍を使って学習するのも良いでしょう。
弊社では、パワークエリ・パワーピボットの研修をご提供しています。社内研修等のご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。