公的支援でどこまで関われるか
「公的支援」と言われても一般の方にはわかりにくいかもしれませんが、商工会議所や公社などの支援機関が、事業者の課題解決をお手伝いすることを指しています。
その中でも、無料または格安で専門家を派遣する制度があり、私も各種支援機関の登録専門家としてお手伝いをさせていだたくことがあります。
ご支援内容は本当に様々で、事業者様と一緒にこちらも学ばせていただくことの多い、ありがたい制度です。ぜひ、多くの事業者様に活用していただきたいと願っています。
さて、そんな公的支援ですが、「できること」「できないこと」の境界があります。とはいえ、この線をどこに引くかというのが非常に難しいものです。
特にIT支援の場合、「技術者」として手を動かすようなことは原則として公的支援ではお引き受けしない(できない)のですが、どこからがその範囲になるか、、、判断に悩むこともあります。
例えば、「ホームページの作成がしたい」という方に、「ホームページを作る際に事前に検討すべきこと」を一緒に検討するのは、専門家として当然お手伝いすべきところです。
ただ「サイト作成にあたって必要なツールをサーバやーPCにインストールする」「ページ作成のための操作手順を、個別具体的に伝える」となると、これは公的支援の範囲を超えるものになるかなと考えます。
もちろん、状況によっては「アドバイス」という形で関わらせていただくこともあるのですが、これらの「手順」「作業代行」に近いものをお手伝いしてしまうと、万一のトラブルがあった時に誰がそのリスクを負担するのか、といった問題が生じます。
また、特にサイト作成などの場合には、細かい技術的な部分で、その手法が属人的になる場合もあり、万一継続しての支援が難しくなった場合には、事業者様も、その後を引き継ぐ専門家も、どのように対処すべきかわからなくなってしまう場合もあります。
たとえ5分で終わる作業だとしてもそれがブラックボックス化してしまうのであれば、それは民間のプロに依頼して有償で解決すべき課題ではないかと考えられます。
とはいえ、同席される支援機関の方もその判断をするITスキルがあることは少ないでしょう。現実的には非常に難しい課題だと考えています。
専門家としては、支援先企業様にとって長い目で見て良い結果となるように、支援機関の皆様としっかりコミュニケーションをとることの重要性を実感しているところです。