ホームページを「全部無料」で済ませてはいけない理由

ビジネスで利用するホームページを作成する場合、「無料」のサービスだけで済ませたいというご相談をいただくことがありますが、基本的にはお勧めできません。この記事ではその理由をお伝えします。

「無料」で作るホームページがビジネス利用に向かない理由

ご自身でビジネスをなさりたい、という方にはすでにおわかりいただけていることと思いますが、世の中のサービスに「無料」でできるものはそもそもありません。無形のサービスであったとしても、そこには管理にかかる手間や人件費などが必ず発生しており、「無料」で提供されることがあったとしても、そこには必ず無料でもよい理由があるからです。

ホームページを作成する際、絶対に必要なものとして、「Webサーバー」と呼ばれる、サイトを置く場所が必要になります。いわばお店を建てる土地のようなものです。それを誰かが無料で提供してくれることがあるとすると、そこにはきっと何らかの思惑があるはずです。

広告が表示される

Webサーバーが無料のパターンとして現状で一番多いのは、そこに設置されたホームページ内に「広告が勝手に掲載される」パターンです。自社の商品やサービスを見込み客に紹介するためにホームページを作成しているのに、その中に勝手に他社の商品やサービスが広告として表示されるのは良いことでしょうか。もしかしたらライバル企業の広告が表示されるかもしれません。見ているお客様が混乱されるかもしれません。

また、「広告が表示されている=無料のサービスを使っている」ということは、見ている人にも伝わります。サーバーのレンタル代は年間で数千円から一万円程度。それくらいの経費もかけられない会社だと思われてしまうことになります。

契約プロバイダのサービス

最近ではかなり少なくなりましたが、契約しているインターネットサービスプロバイダが契約の中にWebサーバーサービスをつけている場合があります。この場合には、広告などは表示されないことも多いです。

ただ、プロバイダはサービスの改廃を頻繁に行なっています。その中で、最近利用者が減っている(理由は後述します)Webサーバーのレンタルサービスは廃止されることが増えています。私も「プロバイダから廃止のお知らせが届いたがどうしたら良いか」といったご相談を何度も受けたことがあります。場合によっては「気が付いたらうちのホームページが無くなっていたんだけど」と、サービス停止の案内を見落とした(あるいは見ていても意味を理解できなかった)方からの事後相談をいただくことも複数ありました。

さらには、引っ越しやインターネット利用環境改善のためにプロバイダを変えたい、といった理由で、今までのプロバイダを解約すればホームページの利用も継続できなくなります。

プロバイダとの契約に含まれているサービスとはいえ、無料で付随しているサーバーに仕事で使うホームページを預けることは安定的な利用にはつながりません。

独自ドメインに関する制約

無料のサービスを利用する場合、独自ドメインを利用できない、あるいは利用できたとしても大きな制約がある場合が多いです。

独自ドメインというのは、自社の社名など独自の文字列を指定したドメインのことです。例えば弊社サイトではwans-one.co.jpというドメインを使っていますが、これは弊社独自に指定したドメインであり、ドメイン取得サービスを利用して管理者にお金を払って使う権利を購入しています。独自ドメインを取得しない場合、サーバーが指定したドメインを利用することになりますが、「xxx.プロバイダ名.ne.jp」のように利用しているプロバイダやサービスの名前がその中に含まれる形になります。これでは見ている人には覚えにくいですし、「独自ドメインも使わない会社=事業の継続性がないのではないか」と思われることにつながります。

なぜ事業の継続性という話が出てくるかというと、独自ドメインはサーバーを移転することがあったとしても、ずっと変わらずに使い続けられるインターネット上の「表示住所」になるからです。例えて言うと、サーバーを「土地」と考えた場合、そこに独自ドメインという住所を割り当てることができるわけですが、もともと借りていた土地Aでは用が足りなくなって土地Bに引っ越した場合でも、引越し終了後に「表示住所」であるドメインを割り当てし直せば、見ている人には引っ越したことがわからないように、新しいホームページにお客様を誘導することができるようになります。ホームページリニューアルの際などには一般的に行われている手法であるため、継続的に事業を行う意思のある事業者は常識的に独自ドメインを取得しています。なので、独自ドメインを取得していないと、「ここは何年か先のことも考えないで事業を実施しているのかな」と思われてしまう可能性が高くなるのです。

無料のサーバーでも独自ドメインを設定できるものもありますが、その場合でも独自ドイメインの取得が自社サービス経由に限定され、もしもサーバー移転をした場合には持ち出しはできない、といった契約になっていることが多いようです。

まとめ

いずれにしても「ただより高いものはない」という言葉もあるように、無料のものには必ず理由があり、趣味で使う場合はともかく、ビジネスで使う場合には、少し先を見ただけでもリスクが多く含まれていることを理解しておく必要があります。

有料サービスと言っても、レンタルサーバーは上記にも書いたように、年間数千円から一万円程度、独自ドメインも同額程度です。キャンペーン等を利用すればもっと安い場合もあります。

サイトを見にこられるお客様に信頼していただくために、その程度のコストをかけることは高くないはずです。

「自社のホームページがどんなサービスで運用されているかもよくわからない」というご相談もよくお受けします。ホームページに関するご相談など、お問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。